平日9:00〜18:00
03-4567-6094

コロナ禍でV字回復した飲食店の成功事例と江戸時代商人の戦略共通点|飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント

コロナ禍でV字回復した飲食店の成功事例と江戸時代商人の戦略共通点|飲食店コンサルティングのスリーウェルマネジメント

飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎です。まだまだ厳しい経営環境が続いている飲食店、今回はそんな飲食店の中でもアフターコロナでもV字回復している企業から学んでいきたいと思います。

まず初めに外食上場企業のコロナ禍における売上状況を見てみましょう。

■マクドナルドの顧客囲い込み戦略

■マクドナルドの顧客囲い込み戦略

この数値を見て頂くとファーストフードや牛丼等、テイクアウト対応型の業態は複数のブランドを見ても前年対比80%~100%で推移しており強い事が分かります。回転寿司、ファミリーレストランといった食事動機の業態は前年対比で60%~90%、一方で繁華街の居酒屋業態は全国的に非常に厳しい状況となっています。

最新の6月度のマクドナルドの売上高は前年比96.8%となっていますが、あらためて3月以降のコロナ禍における各社の実績を見てみましょう。マクドナルドの5月度における「115%」という実績が突出していることが分かります。

■マクドナルドの顧客囲い込み戦略

今回のコロナ禍のマクドナルドの好調を支えた大きな要素の一つに「自社アプリ会員」があります。皆さん、マクドナルドの会員アプリのダウンロード数はどれ位あるかご存知でしょうか?今年4月現在で6,600万ダウンロードという桁違いのダウンロード数を誇っています。集計方法等が違いますので一概に比較はできませんが、例えば丸亀製麺のアプリは1,000万ダウンロードとなっています。

こうした数値を見て頂くといかにマクドナルドの6,600万というダウンロード数(累計)がすごいかが分かるかと思います。

さらにマクドナルドでは新型コロナウイルスの感染拡大による影響を加味し、2020年4月に従来は別のアプリ取得が必要であった「モバイルオーダー」を、いち早く通常アプリからも利用できるようにしています。

「モバイルオーダー」はお店に来店する前に自宅でゆっくりとメニューを選ぶ事ができ、なおかつ店頭では注文の列に並ばずにスピーディーに商品を受け取れるという正に「密回避」ができる機能となっています。コロナ禍における「モバイルオーダー」の戦略は見事に功を奏し、家族等が自宅から事前にオーダーするという利用動機の拡大に繋がっています。

実際にマクドナルドの2020年5月度の前年対比115%という実績を飲食店の売上高公式である「客数」×「客単価」で分析すると下記のような数値が見えてきます。

<マクドナルドの2020年5月度前年対比>
売上高:115%
客数:79.3%
客単価:145.3%

客数は前年対比79.3%と落ち込んでいますが、客単価が145.3%という伸びです。これは家族利用等が増え客数1名におけるまとめ買い等の需要が拡大した事を意味しています。

さらにアプリを見ていくと、新型コロナウイルスの感染対策の紹介や「おうち時間をもっと楽しく~おやこでつくろう!こうさくマクドナルド」というページもありました。これはマクドナルドの袋やカップ等を使って親子が自宅で工作をする方法を紹介しており、リンクをクリックするとYOUTUBE動画で作り方の解説を見る事もでき、ステイホーム期間中に多数再生されています。

自社アプリでは、テレビコマーシャル等と違って企業側が届けたい多くの情報を顧客に届ける事ができます。これからの飲食店経営においては、アプリでは無くても顧客情報を取得した上で定期的にお店の情報=価値を発信するマーケティング戦略がとても重要になってきます。

今まで多くの飲食店は来店客獲得に関して、グルメサイトに頼ってきたという実情があります。しかしながらアフター、ウィズコロナにおいては、多くのグルメサイトでの集客効果が得られない状態となっています。

なぜグルメサイトでの集客効果が得られなくなっているのか?皆さんもそうだと思いますが、緊急事態宣言が明け外食をしようと思った際に、グルメサイト等で今までいった事が無いお店を検索して来店しますでしょうか?恐らくその割合は少ないと思います。多くの方がまずは自宅近くや、以前に来店していた「馴染みのお店」に来店すると思います。

■江戸時代の商人から学ぶ顧客データの重要性

■江戸時代の商人から学ぶ顧客データの重要性

■江戸時代の商人から学ぶ顧客データの重要性

「顧客データの獲得」というマーケティング戦略は何も今に始まった事ではありません。ここで先人の商売の知恵として「江戸の大火」のお話をさせて頂きます。皆様も一度は聞かれた事があるかもしれませんが、江戸時代は火事が非常に多く、2~3年に一度大火事に見舞われる地域もありました。

こうした中で店主は、火事が起きるとまず初めに「顧客台帳」を持って逃げたそうです。高額な商品よりも「顧客台帳」を優先して持って逃げるのです。そして、火事が納まった後に顧客台帳を見ながら「馴染み客」の自宅を訪ねて自身の無事と営業再開の報告をしていくのです。そこで馴染みのお客様が来店や購買をして下さり、少しずつ商売を復興させていったとの事です。

さらに注目するべき点は「江戸時代には2~3年毎に大火を繰り返していた地域もあった」という事です。こうした地域ではせっかく火事から復興しても、また2年後にお店が全焼するといった事も珍しくありませんでした。こうした繰り返す経営危機下において「顧客台帳」を持っていない店舗は次々と廃業に追い込まれていったとの事です。

私はこの度のアフターコロナにおいても「江戸の大火」の教訓は大いに役に立つと思っています。商売において最も重要なのは「馴染みのお客様」です。そして「馴染みのお客様」に自店のコンテンツ=価値情報を迅速かつダイレクトに届ける為にも「顧客台帳」が必須となります。

そして今後の「顧客台帳」はデジタルである事が重要です。私はこれらを総称して「デジタルアドレス」と呼んでいます。マクドナルドのような自社アプリは開発、導入、運用コストがかかる為、中小企業では導入が難しいのが実情です。中小企業でも有効なデジタルアドレスの例としては、①LINE公式アカウント(旧LINE@)②メールアドレス③SNS(Instagram、Twitter、Facebook等)④お客様の携帯電話番号などが挙げられます。

もちろん個人情報保護法等には留意した上で、上記のようなデジタルアドレスをフル活用したマーケティング、つまりWEBマーケティングを実施していく事が重要です。こうした戦略は何も大手企業だけの戦略ではありません、実際に当社のコンサルティング先の飲食店でもWEBマーケティングを活用した事で、2020年5月においても前年売上を超えているお店があります。
 

■下町の焼肉店がWEBマーケティングを駆使してコロナ禍でも前年越えを達成

■下町の焼肉店がWEBマーケティングを駆使してコロナ禍でも前年越えを達成

ご紹介させて頂くのは当社のコンサルティング先で東京都の江戸川区等の下町で人気の黒毛和牛焼肉店「うしくろ」さんです。

「黒毛和牛焼肉うしくろ」では以前からデジタルアドレスの獲得にかなり力を入れており、メールアドレス10,000件、LINE会員数7,000件のデジタルアドレスを保有しています。
具体的には店舗に来店されたお客様からデジタルアドレスを頂く事をスタッフの「KPI=目標指標」に掲げ毎日結果を全店で共有。デジタルアドレスの獲得が上手にできていない店舗に関してはマネジャーが直接店長さんやスタッフにロールプレイング研修を行っています。

東京都の緊急事態宣言が発令された直後には、当社と一緒に戦略会議や商品開発会議を繰り返し、メールマガジンやLINE配信等をフル活用していち早くお弁当の販売開始を告知しました。すると「馴染み客」の方々からお弁当のオーダーが続々と入り5月度は6店舗で2,500万円ものお弁当を販売する事ができました。
こだわりの黒毛和牛を1枚1枚丁寧に焼いて仕上げるお弁当の評判は、地元の方を中心に口コミで広まり、今まで店舗を利用した事が無かった新規のお客様も数多くお弁当を購入しに店舗に訪れました。

数多くの馴染み客に対してWEBマーケティング(オンライン)を実施した事で、結果的に馴染み客からの口コミ(オフライン)による新規客獲得をする事ができました。私は地域密着型の店舗においてはこうした「オンラインtoオフライン戦略」(WEBマーケティング等をきっかけに口コミ来店等に発展していく)や逆に「オフラインtoオンライン戦略」(チラシ等のアナログマーケティングを通じて店舗のサイト、SNS等のWEBマーケティングツールにアクセスする等)

さらにこの「黒毛和牛焼肉うしくろ」では、初めてお弁当を食べたという地域のお客様が緊急事態宣言解除後に「お弁当が美味しいからお店もきっとおいしいはず」という事で、多数来店され、最初に述べたように日本全国の繁華街型の飲食店が苦戦する中でも前年を超えるまでV字回復する事ができました。

現在ではアフターコロナの市場環境を見据え、これからの半年間、一年間を通じたWEBマーケティングの計画書(デジタル年間MD計画書)を作成し、配信時期、ターゲット、コンテンツ(配信内容)を定めて準備をしています。

コンテンツ(配信内容)に関しても、アフターコロナの消費者のマインド調査データでは「家では食べられないもの」等も来店動機の上位に入っています。そうした意味でも自店舗でしか食べられないもの、自店舗でしか体験できない事(サービス)等をしっかりと伝えていく活動=コンテンツマーケティングが重要となります。アフターコロナに伴う経済不安がある為「安さ」というキーワードは重要ですが、それだけでは競合店に埋もれてしまいます。

第二波や秋の感染再拡大等が懸念される中で、今からでも遅くありませんのでぜひ皆様のお店でも「顧客情報の獲得」と「WEBマーケティング」に力を入れて頂き、繰り返す経営危機に備えて頂ければと思います。

少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂きありがとうございました。